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2010/03/06 (Sat)

歌なればこそ ③ (抄)
屋繁男第三歌集


<連作インド紀行34首>

2008年11月30日デリーよりベナレス行きの夜行寝台列車内にて

寝台のキャビンに入れば顔黒き
男ら二人我等を凝視す

不思議なり父と娘はすぐわかる
父の眼差しが確かにあるのだ

サリー着た二人の娘を横に見て
父は語るよインド人の人生

娘らを按じて父は夜行にて
ベナレス行きの我らのキャビンに

目覚めれば俳句や短歌を知っている
彼女を連れたカナディアン居り

その場にて歌を作れば驚きて
手を取り合って喜び合えり

知的なる彼女に従う青年の
心優しきを彼女は愛せり

ベナレスへと列車は急げと
霧の中菜の花畑が浮かびては消え

二人の手を握り合わさせその上に
吾が手を置きて別れて来たり



12月2日ベナレス・ガンガーにて

鉦(かね)なりて裸身の人ら群れ集い
いざガンガーに身をば沈めん

沖に出れば沐浴場の音は消え
火葬の煙立ち昇りゆく

灯篭を流さんとする吾が頬を
カモメが一羽かすめて飛ぶよ

流れ行く灯篭めがけてカモメらは
餌かとまごうてダイビングする

カモメらは毎年冬に遥々(はるばる)と
ヒマラヤ越えてガンガーに来る

気が付けばヒマラヤカモメが乱舞する
ガンジス沖の吾らは小舟

ヒンズーの教徒の灰でガンガーは
真白きまでに濁りたるかな

バンという大きな音を響かせて
洗濯人の裸身のカースト

赤や黄の布に包んだ物運ぶ
陽気な集団そは葬儀なり

赤や黄の高価な布に包まれた
遺体を担いで陽気に運ぶ

川岸で素焼きの器で飲むチャイは
とりわけうまくガンジスの水



<タージマハールにて>12月3日

もやの中静かに立てるタージマハール
朝陽を受けて現れ出たり

陽が少し昇りかけてもタージマハール
なお輝かず白さ増すのみ

輝かずに益々白く神さびて
タージマハール青空の下

霧晴れて白き姿を青空の
下に現すタージマハール

中央に后の棺ありその脇に
王が眠りて愛成熟せり

対岸に黒きタージマハールの夢の跡
ヤムナ川静かに水音もせず

振り向いてまた振り向いて立ち止まり
タージマハール白い幻の城


<アグラ城にて>

長男に幽閉された王様は
川を挟んでタージマハール見る

ヤムナ川を挟んで見ゆるタージマハール
白い美しさと白い哀しみ

赤青のサリーを被った女らは
その色頼みて回廊を行く

黄色なるマスタード畑を紫の
サリー纏える少女が行くよ

赤土を覆える霧の彼方より
黄や青 サリーの女ら現る

赤黄のサリーを纏える女らが
うずくまり語らう菜園の中

女らは皆お姫様・赤や黄の
サリーを着こなす老いも若きも


インド三十八首
2009年11月22日
<ムンバイにて>

ムンバイのプリンス・オブ・ウェイルス博物館のタタ夫人像の前にて
恐らくはインドの悲しみを一身に
受けて夫人はなお涙ぐむ

ムンバイにて三つの感動、石窟寺院
女神像、涙ぐむタタ夫人像

ムンバイのほこりまみれの雑踏を
オレンジのサリーがさっそうと横切る

ひらめかすサリーの色の威力をば
インドの女は知っているのだ

女として生き続けるとは
サリーの色の威力を信じることだ

女とは色そのものと覚えたり
二度目のインドで吾が得た直感

グルカ兵が女王を護衛している
南無さん、あの高砂義勇隊の爺さんが陛下を護衛することもありえたのだ



<プーサバルからジャンシーへ>

夕闇のプーサバル駅に響き渡る
弁当売りの声、カナーカナー

まだ暗きジャンシー駅に降り立てば
毛布を背負いて蹲る人々

<エローラ、アジャンタにて>

エローラへと続く道の両側は
ガジュマルの並木、森のトンネル

契りあらばこのガジュマルの樹の上で
チャイを飲みて君と語らん

アジャンタの涅槃の仏の足元で
弟子のアーナンダ、嘆くアーナンダよ

迫り来るアーナンダの悲しみは
洞窟の中になお満ちている

アーナンダよお前がこんなに泣いたから
シャカは行けたんだよ涅槃の世界へ

アジャンタの石窟寺院の門番は
虎の現われる夜を語りぬ

アジャンタの石窟寺院の僧房で
石のベッドにしばしまどろむ



<カジュラホにて>

カジュラホの塔の上なる浮彫は
人皆踊るよ象や竜まで

チェッラの木の頂上に置きたるテーブルで
カジュラホの塔看てチャイをば飲まん




<ジャンシー駅、ホームにて>

やせ細ったいざりの男が板に乗り
ホームの上を悠然と行く

夕闇のホームの上を牛がゆく
人も恐れず牛も恐れず

到着する列車に犬が立ちションす
ジャンシー駅の夕闇の中

吾が家のゴン、お前もインドの犬のように
新幹線に立ちションしてみろ

インド人は蚊にさされても平気なのか
次々つぶせば壁に黒い血

手さぐりでピーナツ掴んで売る老婆
眼が見えぬらし、分銅で計る

ピーナツ狙って牛が近づけば
察知し一喝、牛はすごすご

少年が必死になってポンプ押す
婆さんが受け爺さんが笑う

人集い村はずれの雑貨屋で
ひねもすテレビを見てはおしゃべり

子山羊抱く少女が道で立往生
人行きロバ行き牛行くちまた

全裸にてジャイナの預言者弟子を連れ
オーチャの町ベトワ河を渡る

恐らくはここは聖なる場所なのだ
ベトワの河は吉野の宮滝

轢死した犬をカラスが啄ばみて
ガジュマルの下輪廻が回る

盲人の奏でる弦の音に送られて
没落マハラジャの館を後にする

楽の音に送られ外に踏み出せば
ニムの並木道、輪廻が待ってる

ムガールはモンゴルのこと、思うべし
ユーラシア大陸八千年の歴史

奥眼とも出眼とも言えるまなざしで
通訳のアビはインドを語りき

ナマステのナマとはナムのことらしい
原始宗教の最初の祈り

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